東海道新幹線の品川駅(東京都港区)が1日、開業した。同新幹線17番目の駅で15年ぶりの新駅だ。同時にJR東海は、列車をすべて最高時速270キロの車両に替え、「ひかり」から「のぞみ」中心のダイヤに変えた。「のぞみ」指定席料金を値下げし、自由席も新たに設けて、割引攻勢の航空各社に対抗する。
午前6時27分、品川駅停車の一番列車「のぞみ41号」が広島に向けて出発した。地元の小学3年生の男女4人が運転手と車掌に花束を渡し、ホームのくす玉を割った。わずか1分の停車時間を利用したあわただしい式典だった。
新幹線駅は約950億円かけて在来線品川駅の東側に建設された。総列車の6割余りの1日186本が停車する。JR東海は「東京南西部から新大阪への時間が、東京駅経由より20~30分短縮される」と宣伝する。京都、新横浜駅を上回る1日約6万人が東京駅から流れ込むと見込む。
この日から新幹線で過去最大のダイヤ改定で「のぞみ」を現在の1時間当たり最大3本から7本に増やし、指定席料金(運賃込み)を約5%値下げした。これまでの全車指定席から、先頭の1~3号車を自由席にし、「ひかり」「こだま」自由席と同一料金にした。東京―新大阪の「のぞみ」の指定席は1万4720円から1万4050円に、自由席は1万3240円になった。
本数の減る「ひかり」は浜松、豊橋など6駅で停車回数を増やしたが、「のぞみ」なみの最高時速270キロを出せる車両を割り当て、所要時間をこれまでと同じにした。「こだま」の本数は変えない。
また、「のぞみ」が新たに止まる山陽新幹線・小郡駅は新山口駅と名称を変えた。
JR東海が品川駅の構想を打ち出したのはバブル期の90年。「現在の東京駅1カ所だけの折り返し運転では近い将来、ダイヤがパンクする」と判断したため。ところが見込みは外れて、乗客数はその後横ばい状態だ。
一方、東京―大阪間の新幹線と航空機の利用割合は、10年前の「85」対「15」から、「70」対「30」(01年度)にまで縮まった。岡山まではまだ新幹線が優勢だが、広島では98年度に航空機が逆転した。このため、品川駅の建設目的は「輸送力増強」から「空との競争」に移り、同社は当面、そもそもの目的だった品川駅始発・終着の列車を設けないことにした。
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