かつて、国内旅行と言えば列車の旅が基本でした。
高度成長とともに新幹線や高速で走る国鉄の特急列車、ブルートレインなどが移動の主役でした。
やがて時代はマイカーを使った旅行のスタイルへと移り、高速道路の発達とともに自分の車で目的地まで移動する便利さが多くの旅行者に受け、マイカーの旅は一躍大人気となりました。
それは、長距離の旅の形も変えました。たとえば関東から北海道へ旅をする場合、かつては夜行列車を乗り継いで青函連絡船で函館に渡り、また列車を乗り継いで移動しました。または羽田空港から飛行機に乗る場合でも、現地の移動は列車が基本でした。それが、マイカー旅行が主流になると、元気のある若者は高速道路で青森まで走って函館までは車ごとフェリーで渡り、家族連れなどは大洗の港から室蘭や苫小牧へフェリーを利用するようになりました。
バイクで道内を自由に移動するミツバチ族と呼ばれる人たちもフェリーで北海道に渡りました。長距離を走ってきたドライバーやライダー、荷物を運ぶ長距離ドライバーたちが時には交流する場となったり、のんびりとつかのまの旅の疲れをいやす休息の場であったりと、フェリーの存在はなくてはならないものでした。
さらに時代はすすみ、航空運賃の下落とともに飛行機を使った旅行代金が一気に安くなり、飛行機の旅が急に身近になると、今度は目的地までは航空機を使い、空港からレンタカーで観光地を巡る形が増えてきました。北斗星やカシオペアなどの豪華な寝台列車も人気となり、ここにきてフェリーは利用する方が減少してきておりました。
今月始め、フェリー会社最大手の東日本フェリーが倒産しました。
今また、一つの時代が終わりを告げたということなのかもしれません。
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